ナイル殺人事件
(1978/英・米 監督:ジョン・ギラーミン)
原作は、言わずと知れたアガサ・クリスティである。ナイル川を遊覧する船の上での事件、列車(オリエント休耕殺人事件)、砂漠(死海殺人事件)、孤島(地中海殺人事件)、ステージの大小はそれぞれだが、いずれお馴染みの密室殺人事件の推理ドラマだ。
エルキュール・ポアロにはピーター・ユスチノフ(個人的には、作り込んだアルバート・フィニーがよかったのだが…)、まず殺害されるのがロイス・チャイルズ(007ムーンレイカーでボンドガールに抜擢されてこの頃が絶頂だったか?)、他にジェーン・バーキン、ベティ・デービス、ミア・ファロー、ジョン・フィンチ、オリビア・ハッシー、ジョージ・ケネディ、アンジェラ・ランズベリー、デビッド・ニーブン、マギー・スミス、ジャック・ウォーデン、・・・この中に、犯人がいたり、次に完全犯罪遂行の邪魔になって殺害される人物がいるわけだが、もうそんなことはどうでもよろしい、さぞかしそのギャラだけでもたいへんなことになっていたろうと推察される、豪華を超えて、少々やり過ぎ、〝顔見世興行〟の様相だ。おのずと展開が緩慢で内容も若干薄めになってはしまわないかと心配してしまう。さて結果は?評価はそれぞれだろうが、案の定というか、とりあえず〝クリスティ原作のポアロ物〟ということで、こちらとしては大満足なのである。
詳しくは言えないが…ポアロがミア・ファローに言う…
「邪悪を心に入れると棲みつきますよ」
「愛のない心には邪悪も入るわ」(『お楽しみはこれからだ・PART3』和田誠著)
絢爛豪華、どんでん返し、やり過ぎると少々浅はかな事になってしまうこともある。〝邪悪〟はやはり潜むもので、そうした部分は表に出さずにこちらにじっくり読み取らせて欲しかった、そうしないと大団円の驚きも納得するばかりで驚きはない…と当時思ったような記憶がある。