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回想1982

『サウンド・オブ・ミュージック』夜の部開演。お馴染みの、マリアが居なくて大騒ぎの修道院のシーンから。10ペンスでオペラグラスを借りる。
 森で、メインテーマ“サウンド・オブ・ミュージック”を唄いながらマリア登場(ペトラ・クラーク)。生で聴く歌はやはり素晴らしい。修道院からトラップ家へ家庭教師として派遣され、不安な気持ちを振り払うようにトラップ家の扉を叩く。キャブテンの厳しい躾に驚くマリアだが、マリア流のやり方ですぐに子供達と打ち解ける[“ドレミの唄”]。新しいママが来るというので(この女性が、あの『007/ゴールドフィンガー』で最後にボンドに寝返った女パイロット、オナー・ブラックマンその人だった)、マリアは邸を去り、修道院に戻るも、マザーに諭され、また、キャプテンへの愛を自覚して再び邸に赴く決心をする(ここで休憩)。 
 物語は佳境に入る。結婚式、そして有名なナチスを嫌ってのコンサート・ホールからの脱出、そして逃避行、キャプテンの唄う“エーデルワイス”、声を詰まらせて唄えないキャプテンを扶けるマリアと子供達(涙が溢れて止まらない)、フィナーレ。
 あっという間の3時間、暫くはその場を立つのが惜しかった。ヴィクトリア駅前のアポロ・ヴィクトリア劇場を出るともう深夜、これからではパブも開いていない(開いていても、やはり一人では憚られる)。舞台か酒か、倫敦の夜はわかりやすい。
 そして、30年の年月が流れて...。その劇場が大変なことになってしまった!
 以下、『asahi.com 20131220』の記事より・・・▼ロンドン中心部ウエストエンドの劇場で19日夜、演劇の上演中に天井が崩落し、観客ら76人が負傷、このうち7人が重傷を負った。▼事故が起きたのは、1901年建造のアポロシアター。ほぼ満席で、720人が人気作品「夜中に犬に起こった奇妙な事件」を観劇中だった。英BBCが伝えた目撃証言によると、ひび割れるような音がした後、ドーム形の天井の一部が崩落したという。原因は不明だが、ロンドン警視庁は「現時点では犯罪の可能性はない」としている。【asahi.com 20131220記事、ここまで】
 古いものを古いまま残すというのは、いかにも英国らしいと言ってしまえばそれまでだが、それも限度があるということかもしれない。日常使ってこそ“価値ある文化財”とは言いたいところだが、安心・安全より優先すべきかと問われれば、議論に及ぶまでもないだろう。