月別アーカイブ: 2015年3月

幸運色々《ラッキーカラー》

1 ピンク 《ピンクトルマリン》

今週の『ラッキーカラー』
…六月生まれは“ピンク”…

「誘いには乗ってみよう、思わぬ臨時収入も期待大で、
特に週末のイベントなどには積極的に参加するべし」

 土曜日、突然夫に競馬場へ行こうと誘われた。お互いギャンブル事には種類を問わずなるべく近づかないようにしているし、京王線沿線に住んでいなければ、夫も思いついたりはしないだろう。ちょっと遠出の散歩くらいの感覚で東京競馬場にやってきた。
 馬たちが走るのを見るのも良いが、立ち姿は特に美しいと思う。そこでレース中でさえもパドックに居て、次のレースを控えた馬たちがそろそろと行儀良く歩くのを混雑もない間にじっくりと眺めることの方が愉しい。
 やがてひとつレースが終わり、続々と人が集まってきた。
 直前のレースでも乗っていたのだろう、他の馬たちには騎手が乗ってからも、一頭だけしばらく周回を続けてから最後に騎手が騎乗した。「Tだ」夫が言った。この名前だけは誰もが知っている有名騎手だった。テレビで見るより背が高く思えた。
 馬が首を突如下げたとき、T騎手は少し慌てたように顔をあげ、そして白い歯をみせて照れくさそうにこちらを見た・・・ように見えた・・・そんな気がした。
 夫に頼んでその馬の単勝というのを五百円買ってもらった。当たったら二千六百円になるという。
「Tが乗るにしては倍率が高いね」と夫が言った。T騎手のヘルメットのピンク色が少しだけ他より眩しく見えて、早足の馬とともに消えていった。

『ヘア』ふたたび

 むかし、アメリカで『アメリカングラフィティ』(1973・米)という映画がかかった際、ローラースケートを履いたウエイトレスがトレイを運ぶ ど派手なドライブインが登場した場面で、観客から爆笑が起こったというが、それは決して「そういえばこんなものがあった!」という感慨だけでなく、 相当に複雑な思いがあってのことだったのかもしれない。全てはベトナム戦争以前のことだったのだ。『いちご白書』(1970・米)は青春の1ページに 過ぎないかもしれないが、『ヘア』(1979・米)となるとそうはいかない。その総合的な“評価”については、これはあくまでもステージのための ミュージカル作品であるわけで、そちらのことに譲るとして、映画にしてくれたということに、せめてもの感謝の気持ちを表したい。それはともかく、 流れ流れて取り返しがつかなくなる前に何とかしたい、しなければならない。信念とまでは言わずとも、冷静な批判と判断のための意識がないと、世の中 全くもってバランスを逸してしまうことにもなりかねない。大きな声にも怯まず、しらけず、あからさまな“反抗”は“思う壺”で、かえってある種の “口実”を与えてしまうことにもなりかねないが、それでも何か策なり、まだ“て”はあるはずだし、寡黙は許されるとして、決して目を瞑ったり、 ましてやあきらめるべきではないだろう。戸惑いの微笑みの中で、運命に身を委ねるというのは、あまりにも過酷で無慈悲なことではないだろうか。