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花散らしの雨と風、そして思いがけない雪さえも...

 散り始めた桜の花に、追い討ちを掛けるように吹きすさぶ冷たい風と、もう季節はずれと言ってもいいだろうたっぷり湿気を含んだ雪が容赦なくそれぞれの花弁に残酷にさ映るほどの負荷をかけていた。桜吹雪を眺めながら過ぎ行く時を惜しむ粋な愉しみを奪われて、ただただ凍え震えつつひたすら”暖”を求めた。
 亡くなって一年後の命日は「一周忌」と呼ぶが、二年後の命日を「二周忌」と呼ぶかというと、さにあらず、いきなり?「三回忌」ということになる。一周忌は、亡くなって一年を迎えたというので一周忌と呼び、その後の年間法要の数え方は、次の年を迎えるという意味で、一年プラスし、つまり、二年後の命日は、三年目を迎えるという意味で「三回忌」と呼ぶのだそうだ。
 年間法要は、実は永遠に続けるのが理想なのだそうだが、その故人の生前を知る人が皆無ということになれば”自然消滅”ということでやむをえないことだろう。
 「花冷え」に「菜種梅雨」、たしかあの日もこの三回忌法要の日と同じように冷たい雨が降り頻っていた。二年はまだ記憶に濃いというより、いまだ切々と胸に迫りやむことがない。