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こんな映画を観てきた[9] 『Go ahead.Make my day.』

「ダーティー・ハリー4」(バディ・バン・ホーン監督/1988/米)

 『44マグナム』という名の方が有名だが、実はこれは『S&W M29』という拳銃の使用弾丸である。資料によると、銃本体は、スミス アンド ウエッソン社が開発した回転式拳銃(リボルバー)で、銃弾は、同社とレミントン・アームズ社が共同開発した狩猟用弾薬とある。
 コーヒーショップにて、ウエイトレスを人質にした強盗に向けてのハリー・キャラハンの台詞(『ダーティハリー4/1983・米・クリント・イーストウッド監督』で、映画字幕では「撃て、望むところだ。」、テレビ放映での吹き替えでは「さあ、撃たせてくれぇ。」だったとのことで、その後流行り言葉のように汎く使われた。ただいずれもピンとこない、「やってみろよ、有意義な一日にしてくれ(楽しませてくれ)」というのが直訳で、できれば「やれるものなら、やってみな。そのかわりどうなっても知らないよ」としたいところだが、残念ながら、これではやはり長すぎる。もちろんここで、強盗の目の前には『44マグナム』弾がこめられた『S&W M29』の8インチの銃口があった。
 しかし、ハリー刑事は決してむやみにこの銃を使いたいわけではない。持っている道具(玩具)はどうしても使いたくなるのが常だが、“ダメなものは、どんな理屈があろうとダメなんだ!”という意識が基本にあって、それはシリーズの『2』において、すでに明確にされている。許す、許さないはどんな時代にも、どんな人物にも左右さることはないというだけで、こんなところが、ダーティ・ハリーをして“アンチヒーロー”というそれまでなかった“称号”が与えられたのだ。時代の正義、誰かの正義など“くそくらえ”、やはり“良いこと”と“悪いこと”の判断はあくまでも普遍的であるべきだというのが、理念としてあると思う。「人は、良いことをしながら悪いことをし、悪いことをしながら良いことをする」と複雑な言い回しをしたのは“鬼の平蔵”だったが、寡黙かどうかの別はあっても、その底にあるものは同様のような気がする。

叢(くさむら)の中に何かいる

 家の前の道を、空気を運ぶバスが右手に上り、30分ほどして、今度は折り返し左に下っていく、やはり車内は運転手だけだ。これがおよそ二時間に一度毎日繰り返される。
 夕刻、手持無沙汰に目当てもなく、とにかく玄関を出てみた。裏手がすぐに山になっていて、建物と山際までのちょっとした空間に一昨年他界した父が遺し、その後手入れのされていない植栽が野放図に生き続けている。
 とその時、ガサガサッと物音がして斜面の一部が直線的に動き進んだ。老いた母と同居してくれている叔母に聞いた。
「猪じゃろ」

山茶花(さざんか)

 椿(つばき)の中国名の「山茶花」が、どうしたわけか、このサザンカの名前として間違って定着したのだそうだ。このように椿と混同されてしまった「山茶花」だが、こちらの花びらは1枚ずつ散っていき、椿は散る際に花ごとボトッと落ちる。また、開花時期も違う(10~12月で、椿は年が明けてからになる)。
 その昔、山茶花 究(さざんか きゅう)という役者さんがいた。“3×3=9さざんがきゅう”、なんともふざけた芸名だが、嫌味な役をさせたら天下一品で、柳生博さん(お若い頃の)を思いっきり“邪悪”にしたイメージ?!懐かしの学園ドラマで、陰険だが、ちょっと間抜けな“教頭先生”といったキャラクターがピッタリの人だったことを思い出した。そういえば『坊ちゃん』の赤シャツといえばこの人だったような記憶がある。