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『肱川あらし』

 先日(二月)亡くなった作曲家船村徹の“遺作“かどうかはわからないが、とにかく伍代夏子という歌手の新曲だという。歌詞は次の通り、作詞は『神田川』の喜多條忠(まこと)だが、当然ここでは見事な?演歌である。歌唱が或いはその内容が特に心に刺さったわけではないが、タイトルをこうつけられると見過ごせない、というより、あまりに身近すぎてどこかくすぐったいのである。

   非の打ちどころのないひとなんていませんよ
   こころに傷のない人なんていませんよ
   川を流れる 霧あらし
   街の灯りも ふたりの過去も
   隠してください 肱川あらし

   世間に顔向け出来ない恋でいいですよ
   やさしく抱かれあなたと死んでいいですよ
   海も 染めゆく 白い霧
   好きで出逢った ふたりの行方
   教えてください 肱川あらし

   涙の川ならいくつも越えてきましたよ
   心が石に変わったこともありました
   大洲 長浜 赤い橋
   こころがわりの 切なさだけは
   こらえてください 肱川あらし

 上流の大洲盆地で発生し成長した霧がやがて溢れ出し、山間の急流を一気に流れ下る。冬の朝の風物詩、地元では“あらし”と呼んでいる。海に出る寸前の赤い可動橋のところで瀬戸内の暖かい海面に触れて霧は消える、そしてそんな日は昼近くになると決まって晴れる、それも快晴である。
 タイトルの「肱川あらし」はともかくとして、一番の「霧あらし」は流れる霧を地元では“あらし”と呼ぶことに因るのだろうし、三番の「大洲 長浜 赤い橋」は、生まれて一八年をそこらあたりで過ごした者(川沿いの桑畑の中道を歩いて通った小学校、中学は歌詞の中にある赤い橋のたもとにあった、そして高校は川沿いを今度は赤いディーゼルカーで通った)としては、むしろしっくりき過ぎてとりわけこそばゆい?!わけであるが、最後の「こらえてください」というのは、よくぞ詞に加えてくれたものだと感激すら憶える。たぶん取材もされてのことであろう、標準語でいえば“許してください”というニュアンスなのだと推測するのだが、どうだろう。

想い出は美しすぎて

 野球と言えば、ショート吉田、お相撲は佐田乃山、MLBはドレイベック投手かハーシュハイザー投手、NFLはちょっと新しくて?ラムズのカート・ワーナー、NBAはセルティックスのラリー・バード・・・それはともかくとして、現代の人たちの投票によると、阪神タイガースの各ポジション別に上位三名をランキング(球団によるアンケート)すると次のようなことになるらしい。それぞれについての感想を述べ、かつ明らかな間違い?を指摘してみた。

◇投手
一位 江夏豊、二位 村山実、三位 藤浪晋太郎…気持ちはわかるが、3位はやはりジーン・バッキーだろう。押さえ投手の項目は別にあったようだが、山本和行、上田次朗、湯舟敏郎を忘れてはならない。でも小山となるとさすがに記憶がぼやけてはっきりしない。
◇捕手
一位 矢野燿大、二位 田淵幸一、三位 木戸克彦…残念ながら、これは間違い!“一位 辻佳紀”と本当は言いたいところだが、やはりしかたなく田淵だろうか?これだけのどっしりした趣(体格のことだけではない)、そして芸術的なホームランとくれば、投手は信頼して、安心して投球することができただろう。
◇一塁手
一位 ランディ・バース、二位 新井貴浩、三位 トーマス・オマリー…一位 遠井吾郎、二位 ランディ・バース、三位 藤本勝己(藤村は三塁手で)が正解?!
◇二塁手
一位 岡田彰布、二位 今岡誠、三位 和田豊…セカンドは本屋敷金吾である!和田はともかく、今岡は鎌田実もしくは中村勝広にとりあえず譲っておこう。
◇三塁手
一位 掛布雅之、二位 今岡誠、三位 藤村富美男…これも気持ちはわかる、でも今岡(掛布も含めて)が藤村の上に居るというは、いかにも座りが悪いのでは?本人にとって。ここでは“サード三宅”のコールが最も相応しく、すなわち三宅秀史を上位に置きたい!
◇遊撃手
一位 鳥谷敬、二位 吉田義男、三位 藤田平…これは明らかに!断じて!大間違い!である。ショートは背番号23、今牛若丸吉田義男以外にない。鳥谷も悪くはないが、藤田平の次あたりか?というよりムッシュ吉田以外にあってはならない?!
◇左翼手
一位 金本知憲、二位マット・マートン、三位 佐野仙好…これは“一位 山内”でないと歴代のランキングとは言えない、あとはどうでもよろしい。
◇中堅手
一位 赤星憲広、二位 新庄剛志、三位 大和…弱い!センターは並木輝男で決まり!!田宮謙次郎と言うべきかもしれないが、やはり解説者としての記憶しかなく、ごめんなさい!
◇右翼手
一位 真弓明信、二位 桧山進次郎、三位 福留孝介…順位はともかく、ここは藤井栄治かインパクトという点でウィリー・カークランドがこの三名よりも遥かに上位であるべきだ。
◇代打
一位 八木裕、二位 桧山進次郎、三位 川藤幸三…異論は無いが、いずれも始めから代打であったわけではなく、このポジションのランキングは不要と考える。でも、川藤の名が出てくるのは、やはり嬉しい限りだ。