月別アーカイブ: 2017年5月

アラン・ドロン引退

 1935年11月8日生まれ(記憶が正しければ?)というから2017年5月現在だと81歳ということになる。さすがに初期の『女が事件にからむ時』などという、当時の恋人(というよりもパトロンというべきか?)と言われたロミー・シュナイダーの“お世話”になっていた頃の作品は観たこともないが、『太陽がいっぱい』以来は殆ど鑑賞したように思う、とはいえせいぜいジャン・ギャバンとの最後の共演『暗黒街のふたり』、『ル・ジタン』、そして問題の多い息子の事に思いが至る『ブーメランのように』あたりまでだが...
 この気持ち悪いほどの二枚目?は見事に日本にはまり、以後世界的にはどうやら通用しなかった(『テキサス』などハリウッド進出と、当時はわずかに話題にはなったが、ブロンソンからの“恩返し”みたいな『レッドサン』というものもどうしたものか?結局それっきりということになった)ようだが、老いてなお、久々の映像からも本国での評判もとんと聞かないものの、とにかく日本向けにはどうしてなかなかのもので、立派な“ニュース”になったしだいである。
 『シシリアン』(内容も音楽も、かの『ゴッドファーザー』のもとになった?!)において、ギャバン氏に共演のオファーを出したところ、「あの若造をぶち殺す役なら演ってもいい」との返事があったという(淀川先生がおっしゃっていたような?)が、その通りの役であった。こんなことを言いつつも、その後比較的名作といわれた『地下室のメロディ』やら前述の『暗黒街のふたり』と共演を続けた、ここらあたりが両者共に“粋”なところだ。ブロンソン氏も“ブレイク”したのはやはりドロン氏のお陰だろう、彼が『荒野の七人』で存在感を示したと気づくのも、もしかするとこの『さらば友よ』の後だったような気がする。ブロンソンはフランスでもう1本『雨の訪問者』があって、これもなかなか印象に残るものになった。『太陽がいっぱい』や『太陽はひとりぼっち』(この邦題はどうにかならなかったか?)、更に『山猫』などは監督の意図というか“想い”が怪しく、まるでプロモーション作品みたいなものだと思っているが、名作かどうかはともかく、「ボルサリーノ」となると魅力全開(もう魅力といってしまおう!)だ。一作目のジャン・ポール・ベルモンドとの共演は、いかにも当時の二人の仲の悪さがにじみ出ていて、それはそれで面白かったが、『2』の理屈抜きの愉しさはその音楽と共に忘れられない。“愚息”のために作ったといわれる『アラン・ドロンのゾロ』(「アラン・ドロンの…」とことわるいやらしさ)も悪くない、どうやら理屈を抜くと、個人的には評価が高くなるということかもしれない。これにくらべると随分と低予算(であろう?)の『黒いチューリップ』の正義のヒーロー物(ゾロの原形みたいなお話)の方が上品で、テレビ放映でしか観ていないが小品の分しっかり丁寧に作られていたような気がする。
 若いころ、既に大女優だったロミー・シュナイダーの“お世話”になって、やがてナタリー・バルテルミー(『サムライ』)と結婚(これは彼女が“ドロン”の名前と子供が欲しかったのでは?というのはあくまでも“下衆の勘繰り”!)、その後ミレーユ・ダルク(『ジェフ』)の献身的な愛を受けた?というが、とにかく、女性遍歴はこれらにもちろん留まらず、さぞかし今なお“爛漫の人生”を送っておられるのだろうが、その後のオッタビア・ピッコロ(『ゾロ』)あたりとなると、これは何かと“お世話”をした側にまわっていたのかもしれない。
 ご本人にとって“引退”はさぞかし大問題なのだろうが、観る側にしてみれば失礼ながらたいしたことではない、むしろ作品はいつまでも残るということで、そういう意味では羨ましいかぎりだ。

元横綱佐田の山死去

 子供の頃大好きだった『佐田の山』が亡くなった、享年79歳。『柏鵬時代』に割って入り、微かな記憶によれば、新入幕で大勝ちして一気に昇進していった状況が強く印象に残りファンになったのかもしれない。それに比べ、引退はあまりに突然だったようで、「潔い散り際」と語り草になっているというが、こちらの方がむしろ記憶にない。身体がどちらかというと硬く、当時“突っ張り”といえば佐田の山ということだったが、この取り口しかなかったのかもしれない。「人気は大鵬、柏戸に及ばなかったが、誠実で闘志あふれる取り口は横綱の名にふさわしく...」と訃報の記事にはあったが、そういうこともあってか、後に協会の理事長に就任した。理事長のことはどうでもいいが、いろいろな場面で永く姿を見られたのは幸いだった。
 もう一人大好きだった、阪神の『23』、捕球から送球までのようすや、バットを短く持ってのレフトフェンスぎりぎりのホームラン(数少ない?)が今でも眼に焼きついている吉田義男さんには、いつまでもお元気でいてほしいと切に思うものである。