最近“心に浸みた“というといいすぎかもしれないが、耳に引っ掛かったというべきか、とにかく思い出してしまった昭和の歌から、今回は「夜の訪問者」、何と言ったら良いのか、ポップス演歌(意味が分からないが…)、歌うは小川順子という。失礼ながら歌い手の方はほとんど記憶にない(微かに憶えがあるようなないような?)、まさにこの一曲の歌い手ということではあったらしい。
歌 :小川順子
作詞:石坂まさを
作曲:城賀イサム
雨の匂いが十九のこの胸濡らす
白い扉にあなたを想うの
夜の鏡に愛を問いかけ
一人涙をみつめて泣いた
きっときっとまた来てね
素敵な私の夜の訪問者
何も言わずにあなたは窓辺の椅子で
あの晩勝手に新聞読んでた
私は私でくちべにひいて
息をひそめてあなたを待ったわ
きっときっとまた来てね
素敵な私の夜の訪問者
夜のしじまに誰かの足音聞いて
胸をかすめるあなたの横顔
泣くだけ泣いて朝まで待って
つかみたいのよちっちゃな倖せ
きっときっとまた来てね
素敵な私の夜の訪問者
何の外連味もない曲の展開、詞も曲も同様である。1975年(昭和50年)の曲だそうで、その5年ほど前にヒットしたフランス映画、『雨の訪問者』(ルネ・クレマン監督、チャールズ・ブロンソン、マルレーヌ・ジョベール)がタイトルばかりか内容まで影響を及ぼしているような印象を受けたのだが、その翌年、なんと『夜の訪問者』(テレンス・ヤング監督、チャールズ・ブロンソン)という、これはほとんど記憶に残っていない、そんな作品が登場したのだそうだ。もっともこちらの方は、資料をみるとストーリーからみて“接点”はみてとれない。内容は『雨の…』から、タイトルだけ『夜の…』から“拝借”してしまったということなのかもしれない。