1970年代前半に頻りと流れたテレビCMに使われた歌である。全国の女性をターゲットとした(女性だけではなかったかもしれない)シャンプーだったか、リンスだったか、その両方だったか、とにかく“売らんかな!”のマーケティング戦略のもと企画された(のであろう)全国版ご当地ソングなのだ。舞台は、東京、札幌、仙台、名古屋、大阪、そして博多とまさに「港町ブルース」「盛り場ブルース」に匹敵するものだった。
作詞 池田友彦
作曲 小林亜星
唄 ハニー・ナイツ
1 泣いているのか 笑っているのか
うしろ姿の すてきなあなた
ついてゆきたい あなたのあとを
ふりむかないで 東京の人
2 ポプラ並木に ちらつく雪が
あなたの足を いそがせるのか
しばれる道が 気にかかるのか
待って欲しいな 札幌の人
3 たなばた祭りの 一番町(ちょう)で
ふとゆきあって 目と目があった
ゆかた姿の すてきなあなた
ささやきたいな 仙台の人
4 雨の今池 小さなスナック
一人ぼんやり しているあなた
ほろり涙が まつげにたまる
抱きしめたいな 名古屋の人
5 今にも空が 泣き出しそうな
道頓堀の 橋のたもとで
何を思案の こいさん一人
声かけたいな 大阪の人
6 泣いているのか 笑っているのか
那珂川ばたに たたずむあなた
ついてゆきたい あなたのあとを
ふりむかないで 博多の人
その頃(このCMが流れなくなって何年かを経て…)、すでにお店にはカラオケシステムが入ってはいた。しかし店お抱えのギター弾きの“先生”も存在していて、複数の店を掛け持ちしていた。一度だけ店のオーナーが“先生”に現金を支払っているのを垣間見たことがあった。社会人になってそこそこの若者にはそれこそ目の眩むような額であったと記憶している。そのくらい需要があって、カラオケにない曲など、まだまだ“先生”の出番は多かったのだ。この曲もカラオケの定番ではなくて、無理を言って伴奏してもらったような、そんなことも思い出した。