『肱川あらし』
伍代夏子という歌手の曲だというが、とにかく演歌である。歌唱が或いはその内容が特に心に刺さったわけではないが、タイトルをこうつけられると見過ごせない、というより、三番になると、あまりに身近すぎてどこかくすぐったいのである。
涙の川なら
いくつも越えてきましたよ
心が石に
変わったこともありました
大洲 長浜 赤い橋
こころがわりの 切なさだけは
こらえてください 肱川あらし
上流の大洲盆地で発生し成長した霧がやがて溢れ出し、山間の急流を一気に流れ下る。冬の朝の風物詩、地元ではこれを“あらし”と呼んでいる。海に出る寸前の赤い可動橋のところで瀬戸内の暖かい海面に触れて霧は消える、そしてそんな日は昼近くになると決まって晴れる、それも快晴である。
さて、五木ひろしの歌に『夜明けのブルース』というものがあって、全く存じ上げなかったが、その中に「…ここは松山二番町の店/渋い男の夜明けのブルース…」という一節があって、紛れもなくご当地ソングである。ただし、前後の歌詞をみても、特に松山でなくても成り立ってしまいそうな内容であった。