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みせかけのふるさと

 選手をリクルートで集め、そうした〝エリート〟の蔭で、スタンドから必死の応援を続ける正真正銘地元出身の非レギュラー選手たち、見る側の勝手な思いであって、当人たちに邪念はない…ことを願ってやまないが、一抹の切なさはやはり残る。高校野球は部活動なのか、それとも広告戦略の一環なのか、言われて久しいが、核心に触れようとすると、どこかしらからの圧力なのか、相変わらずのタブー扱いである。試しにわがふるさとの代表校の出身中学を見てみると、こうした行為自体が野暮なことと言われそうだが、とにかく見てびっくり、登録メンバーの殆どが他県出身であり、界隈の生徒というのはほんとうに数えるほどなのだ。それでも「おらが国さの代表」と声援を送るべきなのかもしれない。そういう自分だって、ふるさとを離れて既に半世紀、「あれはふるさとではない」などと批判めいて言う資格などない…ということなのだろう。そもそもそうしたエリートを何かしらの方法で集めて作ったチームと、基本的に学校近辺だけでできているチームが同じ舞台で競うこと自体、大いに違和感を覚えるが、全国を見てもその戦力に昔ほどの格差がなくなって、それぞれの地方も応援のしがいがあるというもの…とはやはりどうしても割り切れないのである。

こんな映画を観てきた[28] 愛の讃歌

愛の讃歌[Piaf](1974/仏 監督:ギイ・カザリル)

 第一次大戦さ中の一九一五年十二月十九日。パリの舗道にひとつの生命が生み落とされた。父は大道芸人のルイ・ガルシオ、母はリーナといった。生まれた子はエディット(ブリジット・アリエル)と名付けられた。
 やがて、「アコーディオン弾き」の曲が流れ、深い悲しみに充ちた声が流れ出た。呆然と聞き惚れる客席の関係者たち。エディット・ピアフは、ここに栄光と悲惨が渦巻く偉大な歌手への第一歩をしるしたのだ。
 その、「名付けられ」てから、「やがて…」までの、まさに波乱万丈たる人生模様のお話である。まあこのての作品は、エンディングにタイトルでもあり、〝大成功〟となったこの曲が流れれば、だいたいうまくいくことになるのだが、ヒットしたかどうか、あまり記憶がないが、そもそも成功者のことを描くわけで、うまくいって当然といえが当然のことなのだろう。