月別アーカイブ: 2023年6月

こんな唄に出くわした[13]    風の盆恋唄

   風の盆恋唄

     歌 :石川さゆり
     作詞:なかにし礼
     作曲:三木たかし

  蚊帳の中から 花を見る
  咲いてはかない 酔芙容
  若い日の 美しい
  私を抱いてほしかった
  しのび逢う恋 風の盆

  私あなたの 腕の中
  跳ねてはじけて 鮎になる
  この命 ほしいなら
  いつでも死んで みせますわ
  夜に泣いてる 三味の音

  生きて添えない 二人なら
  旅に出ましょう 幻の
  遅すぎた 恋だから
  命をかけて くつがえす
  おわら恋唄 道連れに

 こんな唄があったということは微かに覚えている。『天城越え』の“その後”みたいな印象もあるが、こちらは、大ヒット!ということにはならなかったようだ。「メラメラと燃え盛る」というものではなくて、どちからというと青白い冷たい情念の炎…といったところか、物語性も希薄で、いかにも刹那的であり、それでいて沁みる、静かに…。『風の盆』といっても、その舞台である富山県富山市八尾地区には立ち寄ったこともないが、“生き死に〟と冷徹に、そしてより直截的に向き合う空気感が迫ってくる…ようだ。

こんな映画を観てきた[37]    リトル・ロマンス

     リトル・ロマンス[A Little Romance]
         (1979/米 監督:ジョージ・ロイ・ヒル)

 “映画狂”となってしまったきっかけである『スティング』のジョージ・ロイ・ヒル監督による青春ロマンスで、ダイアン・レインの映画デビュー作。ベルサイユ宮殿で出会った、それぞれIQが非常に高いフランス人の少年ダニエルとアメリカ人の少女ローレン。ふたりは謎の老人(これがなんとサー・ローレンス・オリビエ)から聞いた「ベネチアにあるためいきの橋の下で、日没の瞬間にキスした恋人たちは永遠に結ばれる」という伝説を実行しようと、ベネチアへと旅立つ。
 この作品が上映されてから3年ほど後にこの地を訪れた…想えば40年も大昔のことである。この橋を渡ると二度と元の世界に戻れない、つまり監獄への一方通行の橋なのであって、けっしてロマンチックなものではないが、確かに海に向かってこの橋をゴンドラでくぐり、その先に夕陽があれば、〝永遠〟という言葉もぐっと身近に感じられるかもしれない。夕刻になってサンマルコ広場の片隅に陣取る…そして『サマータイム・イン・ヴェニスー旅情ー』の演奏が始まる、本来の目的はこちらであった!