月別アーカイブ: 2023年7月

こんな歌を聴いてきた    能古島の片想い

   能古島の片想い

     歌: 井上陽水
     作詞:井上陽水
     作曲:井上陽水

  つきせぬ波のざわめく声に
  今夜は眠れそうにない
  浜辺に降りて裸足になれば
  とどかぬ波のもどかしさ
  僕の声が君にとどいたら ステキなのに

  つめたい風は季節を僕に
  耳うちすると逃げてゆく
  ときおり砂はサラサラ泣いて
  思わず僕ももらい泣き
  僕の胸は君でいっぱいで こわれそうだ

  遠くに見えるあかりは
  南へ行く船の幸せかな

  悲しいだけの今夜の気持
  なにかをすればまぎれると
  星屑なんか数えてみても
  涙でそれも続かない
  君が僕の中にいるかぎり
  波の声で僕は眠れない 本当なんだ

  2005年発売というから、平成になってからの作品という事になる、もっと前のものかと思っていたが、平成…であった。そして、井上陽水の曲の中で、個人的にとりわけ〝沁みる〟ものなのである。『少年時代』とはまた違った物語で、曲調もあくまで軽快、詞の内容も決して薄くはないが、浅いといえば相当に浅い、重くない分繰り返し聴いても飽きない…ということになる。
  亡くなってしまったが、長い付き合いだった知人(恩人といってもいい…)の子供さんが、そのパートナーとともに、この島で現在観光農園なるものを経営されている。知人ご本人も晩年その手伝いをされていたということだ。博多の沖にあるその小さな島を一度訪れてみたいとも思っていたが、さてどうしたものか、今後の予定としてとりあえず心に置いておくこととしようか…

こんな映画を観てきた[38]    リリー・マルレーン

   リリー・マルレーン[Lili Marleen]
(1981/西独 監督:ライナー・ベルナー・ファスビンダー)

 ナチスの勢力が増す一方のヨーロッパ。有能な音楽家でユダヤ人のロバート(ジャンカルロ・ジャンニーニ)は、仕事の旅行に、愛人で歌手のビリー(ハンナ・シグラ)を伴っていた。彼女はレコードを吹き込むことになり、放送局で“若き歩哨の歌”をかけるところを誤ってその“リリー・マルレーン”を流したことで、リクエストが殺倒。彼女は一躍人気スターになった。(資料より)
 歌手であり、女優でもあったというララ・アンデルセンの生涯をもとにして物語としたものである。当時、欧州戦線では、両軍ともにその戦車などにはラジオが装備されていて、前線で敵味方別なくおなじこの歌を同時に聴いていたという…ことを大昔深夜放送の某コーナーで聞いたことがある。日本軍にはそんな装備は存在せず誰も聴いていない…らしい。内容は歌とはあまり関わりなく、不倫としての恋愛物語で、印象として弱く、さほど記憶にも残っていないが、この歌だけはずっと心に沁みっぱなしという事に相成った。これはドイツ側が舞台だったが、西側に亡命したマレーネ・ディートリッヒの歌唱で全世界に広まり、日本では、加藤登紀子によるものがよくよく心に沁み入っている。思えばまだこの時、西ドイツという国名があった・・・