看護婦のオヤジがんばる
(1980/日 監督:神山征二郎)
微かな記憶である、細かい事は覚えていない。タイトルすらあやしかった。確かテレビ鑑賞であったかと思うが、あくまでもコメディ仕立てで、テーマの押しつけもなく、ただただ愉しくも感動することの多い作品だった。絵の道に進みたかった夫(前田吟)は仕事が終ると家で版画を彫ったりしている。結婚の時に、「好きな絵を描かせてあげる」と理解ある妻(佐藤オリエ)は看護婦である。
ところが看護の仕事はまさに激務で、夜勤続きから過労で倒れる。子供の世話など家事一切が夫の役割となって彼は途方に暮れる。命をすり減らすように献身的看護を続ける妻に、この夫はどう対応したか?やがて夫は意を決して「十分な労働条件と休息がなぜないのか、看護婦のオヤジたちよ、あなたは辛くはないですか。このままでは私たちの家族は完全に破壊される。政府は、厚生省は、わたしたちをどうしようとしているのですか……」(すっかり忘れていたが、資料によると投書の内容はかくのごとしであった…)と新聞に投書した。その反響が大きかったというお話である。メッセージは重く、それなりの狙いもあったろうが、なんとなく鑑賞後爽やかな気分になったことを覚えている。
※『看護士』とすべきところかもしれないが、ここではタイトルに敬意を表して『看護婦』とした。