ミスターグッドバーを探して [LOOKING FOR Mr.GOODBAR]
(1977/米 監督…リチャード・ブルックス)
永遠の孤独
何故に彼女は孤独にならなくてはならなかったのか、街をさまよう彼女の瞳は子供達を優しく見詰める昼間のものと何等変わりはないのに、何故彼女は夜毎その扉を押すのか・・・
或る日、彼女は“血”に対する疑惑を解くために不妊手術を受ける。一見冷ややかにも思えるその行為は、最も愛するものへの優しさに満ちた答えであったと信じたい。不幸な“血”は此処にこうして途絶えた・・・
残された肉体と、隙間だらけの心はそれ以降激しく、それでいて冷たく燃焼し続ける。
そんな彼女に、街は決して理解を示さない。酒もコカインもそしてセックスも彼女にとっては断片に過ぎない。彼女を優しく包むものは何処にもない。探しても見つからぬものをあなたは何故そんなにまでして探すのか。探すことだけがあなたにとって存在の証だったのか?!
あなたが背中の傷に支配されつつ生きたように、私もまた日常に支配されつつもやはりミスター・グッドバーを探し続ける、そうすることだけが存在の証だとすれば、もはや何も思い残すことはない。...1978年3月記