裏窓
[REAR WINDOW]
(1954/米 監督…アルフレッド・ヒッチコック)
ヒッチコック、個人的にはちょっと苦手な監督さんではある。どちらかというと謎解き寄りが好みで、『サイコ』、『鳥』、『ファミリー・プロット』といい、とにかくこの人の〝スリラー〟は深くも怖い。ユーモアたっぷりというところがかえって怖さを募らせる。ここはとにかくタイトルに魅かれるばかりである。
「結婚は理性的にしたい」
「理性ほど人類に有害なものはないわ」
(『お楽しみはこれからだ4』(和田誠著)
足を骨折して療養中の主人公(ジェームズ・スチュアート)と通いの看護婦(士)の会話である。彼と素敵(すぎる!)な恋人(グレース・ケリー)とのことをもどかしく思ってのやり取りだが、こういう皮肉がヒッチコックはお好きなようだ。まず主人公を狭い空間に閉じ込めておいて(動けない…)、退屈しのぎの〝のぞき見〟から、どんどん殺人事件に引き込まれていく。