学ぶ真似は良いけれど、やはり“ならぬことはならぬこと!”でしょう...

 九月の花で極く一般的なものを探したら、『彼岸花』に続くのが『鶏頭(けいとう)』ということになろうか。他にもたくさんあるが、いずれもその名に馴染みがない(要するに知らない)。花が鶏の鶏冠(とさか)状に見えるのでこの名前になったこの花は、世界中のどの人が見ても“鶏のとさか”に見えるのだろう。英語でも「cocks-comb」(鶏のとさか)というらしい。

 さて、あまりにも有名になったあの、例の“マーク”であるが、もう世界中の誰が見ても“アウト!!”ということになった。ストライクワン!ツー!!と続いて、見送りか空振りかはどちらでもいいが、とにかく“三球三振、バッターアウト”、加えて守りにつくこともなく、即刻“退場!”で幕が引かれた(すぐにみんな忘れてしまうだろう)。誰が見ても同じイメージを抱く、そして抱かせるべくその展開を企て実行するのがデザインであり、デザイン戦略である。その一角がアウトであれば、全体がアウトになる厳しさは当然だが、提案する方も、採用する方も、またそれを評価する(見せられる)側も、いずれもバランスを欠いた混乱ぶりを呈し、落としどころどころか“空中分解”からの“雲散霧消”で、何の解決も見ないまま時の経過で誤魔化されようとしている。学ぶ段階においては、模写なり、引用なり、真似ることはむしろ推奨すべき手段なのだろうが、世に問うとなると、個人と社会の双方の側に、少々覚悟と準備が足りなかったというべきだろう。