こんな映画を観てきた[12]

   夜の大捜査線[1967/米/ノーマン・ジェイスン監督]

 “私の好きな映画”をあげるとすると、“ミステリー&サスペンス部門”(?)で文句なくベスト5に入る作品である。
 ニューヨークの敏腕刑事チッブス(シドニー・ポワチエ)が、南部の町で起きた殺人事件を、強烈な人種偏見と闘いながら解決するまでを描く。原題の『In the Heat of the Night』の素晴らしさに対して、何と陳腐な邦題!そこを除けば、クインシー・ジョーンズの音楽を含めて、全てが一級品だった。とりわけ印象に残ったシーン、事情聴取に訪れた“無礼な”黒人刑事を叱りつけるようにその頬を張る農場主。対して、チッブス刑事は“見事に”張り返すのだ。思わぬ反撃を受けた農場主は、恥ずかしさに、そして情けなさゆえに泣いてしまうのだった。ここに監督の想いの全てが込められているのでは…、警察署長(ロッド・スタイガー)との、何とも繊細な絡みと合せて、何度観ても新鮮な痛快感、爽快感に浸らせてくれる作品である。列車の窓越しに主役を置いて、そこからカメラを引いて動く列車が小さくなっていき、そしてエンドロール。あれはどのように撮影されたのか、当時(といっても既に封切りではなかった…)映画評でも話題になったとの記事に接したような記憶がある。