ご当地ソング

 ヒットしたものを挙げてみると、もちろん個人の見解であるが、つまり、“沁みる”或いは“沁みた”ものなのだが、『釧路の夜』、『新潟ブルース』(美川憲一)、『池袋の夜』、『長崎ブルース』(青江三奈)、『京都の夜』(愛田健二)、『たそがれの銀座』、『雨の銀座』(ロス・プリモス)、『長崎は今日も雨だった』(クールファイブ)、ただし、好みの問題であるが、ここでは、どれが…とは言わないが、地名はしっかりタイトルにはあるものの、別にそこでなくても…というものは外している。また、『盛り場ブルース』、『港町ブルース』(森進一、『京都から博多まで』(藤圭子)、『ふりむかないで』(ハニーナイツ)といった“広域或いは全国渡り歩き型”のものについては改めてじっくりと触れる。
 さて、例えば釧路、新潟、ある程度既に認知度が高い地名があってこその、それぞれ釧路川だったり幣舞橋(ぬさまいばし)があり、また新潟駅や万代橋(まんだいばし)が具体的なイメージとして“沁みる”のである。ヒットはしたけれど、『伊勢佐木町ブルース』とくると、西の国生まれの田舎者としては、なかなか横浜という“メジャー”なイメージに結びつかず、後年になっても群馬県の伊勢崎市と混同してしまっていた。『柳ケ瀬ブルース』も同様である。一方『池袋の夜』においては、いささか面積でいえば狭いと言わざるを得ないが、地名として充分に“メジャー”、そこで美久仁小路や人生横丁が生きてくるのである。『たそがれの銀座』では、ご丁寧にも一丁目から八丁目まで順に歌い上げて、ミリオンセラー(たぶん…)となってしまった。これも“銀座”というさほど広くもないが、日本一(?)有名な地名であってこそのことなのだと思う。余談ながら、富士山を見に行って天候のせいでその姿が見えなかったら、「宿代返せ!」と言いたくもなるが、旅先で唯一雨に降られても誰も文句を言わない、むしろそれが風情とばかりに喜ばれるそうな、それが長崎、もちろん『長崎は今日も雨だった』のお蔭に違いない。