訃報 若山弦蔵さん

 「007」でショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドや、「スパイ大作戦」のリーダーのジム・フェルプス、そして「鬼警部アイアンサイド」のアイアンサイド警部(レイモンド・バー)の吹き替えを担当、低音域ながらよく通る渋い声で人気を得た若山弦蔵さんが先ごろ亡くなったという。ちなみに、「アイアンサイド」で途中までの“紅一点”イブの声を吹き替えたのが、今や参議院議長山東昭子氏であります。
 若山弦蔵のあとをついで「007」のボンド役を担当したのが広川太一郎さん、イメージが軽くなった分(インテリジェンスの部分では決してひけをとらない…と思っている)ロジャー・ムーアの声はこの人で良かった…と思う。
 ということで、声優の“大御所”を挙げてみた。米仏伊の二枚目の声といえば、野沢那智さん、ロバート・レッドフォードにジュリアーノ・ジェンマ、そしてなんといってもアラン・ドロン、一時代のスーパースターを総なめである。渋さはないが、嫌味なくらいの“二枚目声”をやらせて、この人の右に出る人はいない…と思っている。
 さて愛川欽也さん、この人は、ジャック・レモンの一点、大好きな(個人的に)この役者さんを一層引き立てた功績は大きい…と思う。お相手といえばシャーリー・マクレーン、その吹き替えは小原乃梨子さん。
 刑事コジャックといえば、森山周一郎さん、スーパーマンとマグマ大使のゴアと田辺製薬(生?CM)といえば大平透さん、オードリー・ヘプバーンは池田昌子、とくればグレゴリー・ペック、こちらはなんといっても「ジェットストリーム」で毎夜沁みるほどにFM東京に聴き入った城達さん也、スチーブ・マックイーンいえば宮部昭夫さんだが、この人は俳優のイメージが強く、サリーちゃんのパパとともに、内海賢二さんも担当した。、チャールトン・ヘストンと銭形警部は納屋悟朗さん、この人の重厚な声には“大活劇”の主役こそが相応しい…と思う。そして、マリリン・モンローは向井真理子さん。
 当然、実際のご本人の声とは全くの別物なのだろうが(アラン・ドロンなどは相当に低音?!)、吹き替えで、場合によっては本人の望まぬイメージが地球の裏側(映画の当時の本場から見て)で思いもかけず定着してしまっていたことをどう思っておられたか、翻訳とはまたちょっと違うと思っているのだが、演者のことはともかく、あくまでも(個人的に)モーゼ(十戒)の声は納谷さんであり、初期のボンドやアイアンサイドの声は若山さんなのである。