みせかけのふるさと

 選手をリクルートで集め、そうした〝エリート〟の蔭で、スタンドから必死の応援を続ける正真正銘地元出身の非レギュラー選手たち、見る側の勝手な思いであって、当人たちに邪念はない…ことを願ってやまないが、一抹の切なさはやはり残る。高校野球は部活動なのか、それとも広告戦略の一環なのか、言われて久しいが、核心に触れようとすると、どこかしらからの圧力なのか、相変わらずのタブー扱いである。試しにわがふるさとの代表校の出身中学を見てみると、こうした行為自体が野暮なことと言われそうだが、とにかく見てびっくり、登録メンバーの殆どが他県出身であり、界隈の生徒というのはほんとうに数えるほどなのだ。それでも「おらが国さの代表」と声援を送るべきなのかもしれない。そういう自分だって、ふるさとを離れて既に半世紀、「あれはふるさとではない」などと批判めいて言う資格などない…ということなのだろう。そもそもそうしたエリートを何かしらの方法で集めて作ったチームと、基本的に学校近辺だけでできているチームが同じ舞台で競うこと自体、大いに違和感を覚えるが、全国を見てもその戦力に昔ほどの格差がなくなって、それぞれの地方も応援のしがいがあるというもの…とはやはりどうしても割り切れないのである。