第三の男[The Third Man(1949/英 監督:キャロル・リード)
第二次大戦終戦直後、米英仏ソの四カ国による分割統治下にあったウィーンに親友ハリー・ライムを訪ねてきたアメリカ人作家のホリー。だが、ハリーの家に着くと守衛からハリーは交通事故で死亡したと告げられる。腑に落ちないホリーはウィーン中の関係者をあたり、真相究明に奔走するが……。出演はジョセフ・コットン、アリダ・バリ、そして謎の男ハリー・ライムにオーソン・ウェルズ。
これはもう名作中の名作!まさに光と影の芸術である。闇の中から浮かび上がるハリー(オーソン・ウェルズ)の悪戯っぽい笑顔が忘れられない。またモノクロであってこその作品で、色がついたら興覚めどころか、全てが台無しだろう。さすがに封切りでは見ていない(生まれていない…)が、おそらくテレビ放映が最初だったと思う…もちろんどこだかの〝名画座〟で見直しはしたような記憶は遠いがある。
もう半世紀近くも大昔のことになるが、この地を訪れて、三角形に開く地下水道につながるマンホールの蓋を探してはみたものの見つからず、それでも高所恐怖症をも省みず乗り込んだ、当時欧州一高いといわれたプラター広場の観覧車に乗り込んで震えていたことを思い出す。