こんな映画を観てきた[38]    リリー・マルレーン

   リリー・マルレーン[Lili Marleen]
(1981/西独 監督:ライナー・ベルナー・ファスビンダー)

 ナチスの勢力が増す一方のヨーロッパ。有能な音楽家でユダヤ人のロバート(ジャンカルロ・ジャンニーニ)は、仕事の旅行に、愛人で歌手のビリー(ハンナ・シグラ)を伴っていた。彼女はレコードを吹き込むことになり、放送局で“若き歩哨の歌”をかけるところを誤ってその“リリー・マルレーン”を流したことで、リクエストが殺倒。彼女は一躍人気スターになった。(資料より)
 歌手であり、女優でもあったというララ・アンデルセンの生涯をもとにして物語としたものである。当時、欧州戦線では、両軍ともにその戦車などにはラジオが装備されていて、前線で敵味方別なくおなじこの歌を同時に聴いていたという…ことを大昔深夜放送の某コーナーで聞いたことがある。日本軍にはそんな装備は存在せず誰も聴いていない…らしい。内容は歌とはあまり関わりなく、不倫としての恋愛物語で、印象として弱く、さほど記憶にも残っていないが、この歌だけはずっと心に沁みっぱなしという事に相成った。これはドイツ側が舞台だったが、西側に亡命したマレーネ・ディートリッヒの歌唱で全世界に広まり、日本では、加藤登紀子によるものがよくよく心に沁み入っている。思えばまだこの時、西ドイツという国名があった・・・