こんな歌を聴いてきた    水中花

   水中花

      作詞・阿久 悠
      作曲・歌:井上 忠夫

  線香花火チリチリと
  松葉模様描いてる
  金魚鉢ではポトリ紙の花咲く
  水の中で開く花
  外に出せばただの紙
  そうよ私はここで生きているだけ

     あなたには二度と逢えないわ
     お互いに不幸になるだけよ
     さよなら さよなら お酒でも飲みます

  針の音がシャーシャーと
  歌の隙間埋めてる
  古いレコードかけて酒を飲むのよ
  辞書を開き知らぬ文字
  さがしながら書く手紙
  頬に流れる涙吹きもしないで

     あなたには二度と逢えないわ
     お互いに不幸になるだけよ
     さよなら さよなら 夜明けでも待ちます

 どこでどうひっかかったか、まさか松坂慶子の『愛の水中花』(こちらは五木寛之作詞)と間違えたわけでもあるまいが、調べるとその3年ほど前に発売されたものであったようで、とにかくLPを買い求めて、これもまた毎夜のごとく繰り返し聴いていたことは覚えている。『ブルーシャトー』も悪くはないが、この井上忠夫という人のベースは、あくまでも〝和風で〟、ここらあたりにあったのだと思っている、そのくらい沁みるのである。