コンドル
[The Getaway]
(1975/米 監督…シドニー・ポラック)
スパイ同士の暗躍戦を描いており、ターナー(ロバート・レッドフォード)がスタッフの昼食の買出しのためにこっそり出ていったすぐあと、突然アメリカ文学史協会(実はCIA〝アメリカ中央情報局〟の末端組織)に3人の男が乱入し、マシン・ガンでスタッフを皆殺しにした。ターナーが戻ったときは、同僚の残惨死体だけが残されていた。〝コンドル〟は彼のコードネーム。
公開時の評価としては、あまり高いものではなかったように覚えているが、そういえば共演のフェイ・ダナウェーの印象も薄い。ただ、殺し屋のマックス・フォン・シドーの凄みだけは目立っていたような、そんな微かな記憶が残る。シドニー・ポラック監督とレッドフォードが組んだポリティカル・サスペンスとのことだが、成功作ではなかったらしい。それにしても、こういうテーマが一本の映画になってしまうのは、さすがにアメリカの懐の深さだけは今にして思い知らされるのである。
コンドルが殺し屋に尋ねる。
「何故?」
殺し屋が返す。
「〝何故〟に興味はない。考えるのは〝いつ〟と〝いくら〟だけだ」
これをプロフェッショナルというのか?(和田誠著『お楽しみはこれからだPART2』より