こんな映画を観てきた[55] シェーン

   シェーン
     [SHANE]
     (1953/米 監督…ジョージ・スティーブンス)

 西部劇というのは、あまり得意な、いや好きなジャンルではないが、これはやはり名作なのだろう、スタンダードと言ってもいい。ラストの「シェーン!カムバック」の少年の台詞はあまりに有名だが、そのあとに「ママウォンチュユー」などとこまっしゃくれたことをボソッと付け加えたような…記憶違いか?
 凄みのある存在感を見せたジャック・パランスとの決闘シーンとして忘れられないのがあの早撃ち、そこに至る過程で
「お前の噂は聞いている」
「どんな噂だ」
「北部の豚野郎だとさ」
言われたパランスが「やるか」(和田誠著『お楽しみはこれからだPART2』より)とつぶやいて、そして、一瞬の結末…ということになる。
 ワイオミングの山々を背景に流れる主題曲の『遥かなる山の呼び声』、こんなタイトルの邦画もあったが、観ていない。それはともかく、これ以上ないくらいの広大な風景の中に繰り広げられた人間ドラマ、何故か音楽だけは西部劇、やけに沁みるものが多い。
 想えば、70年以上前に製作された映画である。さすがに…わずかに生まれていない…
 大御所監督が、盛りを過ぎた?と言われたたアラン・ラッドに再び大いなる光を当てた、そんな一作でもあったという。