パンとスープとネコ日和

 WOWOWで『パンとスープとネコ日和』というドラマを観た。毎週日曜日の午後10時からの連続ドラマのつもり?で見ていたら、第4回放送の終了後、全出演者によるなんとも表現しづらいダンス(ほんの瞬間だが、岸恵子までつきあわされていた)があって、いきなりドラマ自体が終わってしまった。あまりに終わりが唐突な感じがして、あわてて公式プログラムを開くと確かに[全4回]とあった。確かにこれが最終回だったのだ。文句を言っているのではない、面白かった。特に愉しみにしていたわけでもなく、初回と2回目の途中くらいまでは“いいかげん”にしか観ていなかった。オンデマンドでもやっているというので、パソコンで全4回通して改めて観賞したしだいである。
 ほぼ何も起こらない、なにも解決しないままストーリー(のようなもの)は展開し、いきなりのエンドマーク!それでも退屈しない、それどころか観ていて笑顔になっている自分に気づいてびっくりしたりする。
 実際には、母親の死、転職(パンとスープのお店を開業)、ご近所との緊張感たっぷりのつきあい、新しい仲間の登場、ネコの失踪、そしてもしかすると腹違いの弟かもしれない若いお坊さんとの接触と、結構“事件”は起きるのだが、どれも重たくないのだ。それでいてどのエピソードもそれぞれに示唆に富んでいると言いたい。
 群ようこ原作ということで、以前(かなり昔のことになるが)続けて何冊か集中して読んだことがあり、この同い年の“感性”が懐かしくもうれしかったのかもしれない。といわけで、本棚から群ようこ原作の『濃い人々』(2001年4月24日第一刷発行)を引っ張り出して、新鮮な気持ちで再読している。