港のカラス
このところ、このあさみちゆきという人の唄声が沁みて沁みて仕方がない。先の『井の頭線』はなんとなく〝フォークソング〟っぽかったが、これは演歌…いやなんとなく〝演歌〟。森進一が唄う『襟裳岬』、いやその逆で高山厳が唄った『心凍らせて』に近いか…そんなことはどうでもいいが、この人にはどうやら2系統の唄の〝回路〟があるらしく、とにかくどちらもよく沁みるのである。
港のカラス
作詞…髙田ひろお
作曲…杉本眞人
唄… あさみ ちゆき
憎い恋しい あの人は
わたしに何も 云わないで
アラビア文字の 貨物船
日暮れに乗って 行っちゃった
港カモメの 群れのなか
わたしはカラス 赤い目の
夕焼け色の 電柱で
あのひとそっと 見送った
昔 異人さんに 連れられて
少女も船に 乗ってった
行ったら帰る あてもない
昔も今も 横浜は
山で暮らせば いいものを
街まで来たら 捨てられた
今夜もひとり 止まり木で
カァーカァー泣いて 飲むだけさ
いい唄だと思う、思うが、何よりも沁みるのはその声だ。『砂漠の子守唄』やら、フォーク寄りの?『想い出の写真館』、『夕刊』など続けて聴いてみたけれど 、とにかく個人的に実に心地よい声質であり、唄い方なのだ。このあさみちゆきという人の事は最近になって知ったもので、少し調べたが記憶にない。小林幸子と美樹克彦に倣ってか?作曲家(網倉一也)とのデュエット(『再会ートワイライト』)なんてものもある。あまり〝こだわり〟のない人なのかもしれない。