こんな歌を聴いてきた    池上線

   池上線

     作詞 佐藤順英
     作曲・歌 西島三重子

  古い電車のドアのそば
  二人は黙って立っていた
  話す言葉をさがしながら
  すきま風に震えて
  いくつ駅を過ぎたのか
  忘れてあなたに聞いたのに
  じっと私を見つめながら
  ごめんねなんて言ったわ

  泣いてはダメだと 胸にきかせて
  白いハンカチを 握りしめたの
  池上線が走る町に
  あなたは二度と来ないのね
  池上線に揺られながら
  今日も帰る私なの

  終電時刻を確かめて
  あなたは私と駅を出た
  角のフルーツショップだけが
  灯りともす夜更けに
  商店街を通り抜け
  踏切渡った時だわね
  待っていますとつぶやいたら
  突然抱いてくれたわ

  あとからあとから 涙あふれて
  後ろ姿さえ 見えなかったの
  池上線が走る町に
  あなたは二度と来ないのね
  池上線に揺られながら
  今日も帰る私なの

 池上線は都会のローカル線である。〝同等級〟と言っていいのか、京王井の頭線は渋谷・吉祥寺間という職住のメジャー級を繋ぐ路線に対し、こちらは五反田・蒲田間、いかにも〝おしゃれな路線〟とは言い難く、もう随分昔のことだが、仕事で何度か利用したほかはとんと馴染みがなく、あまり印象にも残っていないが、ただ確かに車両も途中の駅舎も既に古臭かったことを覚えている。それでもどちらも歌になった!片や『私鉄沿線』、後にズバリ『井の頭線』なんて曲にも出くわした。そして一方『池上線』、こちらの方がやや沁みる度合いが高くて、往時もよく唄ったし、個人的には〝昭和の名曲〟として令和の今に残るもの…と思っている。
 「池上線」という言葉以外に具体的に沿線をイメージさせる文言はなくて、東上線でも京急線でもいいようなものだが、やはりスケール的に唄になりそうな雰囲気ではある。確かに同じ東急ではあっても世田谷線では、また別の空気感が漂ってしまうかもしれない。