こんな映画を観てきた[60] 友よ静かに死ね

   友よ静かに死ね
  [LE GANG]
(1976/仏 監督…ジャック・ドレー)

 アラン・ドロンの訃報から一年が経った。この人、〝死〟というものに対して、ある種美的なものを感じて、それを作品に持ち込んでいたのかもしれない。この時期の作品では、彼は最後にはよく死んでしまう。ここでも、ラストに近く、強盗先の女主人に銃弾を撃ち込まれてしまい、とはいえ、虫の息であじとにもどり、悲しみにくれる恋人や仲間達に囲まれるのだが、ただでは死なない。内容はというと、プログラムがあるので、確かに見もしたし、珍しく原作(ロジェ・ボルニッシュ、もちろん翻訳)を購入して読んだ。えらく厚く、長い物語だったようだが、映像ともどもあまり記憶に残っていない、そういう一本だったのだろう…あくまでも個人的にということで。
 パリがまだ戦争の傷跡をなまなましく残していた頃。どこにでもいるような平凡なその男たちこそ、実は愛車シトロエンを駈って神出鬼没の犯罪をくりかえして警察の激昂を買っているギャング一味だった…という物語。プログラムには「暗黒街に生きる男を演じるとき、まさにその本領を発揮するアラン・ドロンが、みずから製作・主演」とあるが、本領はまた別のところにあったような…それでも、ドロン自らの製作であることからして、彼の思い通りのスタッフ、キャストを揃えたのだろう。微かな記憶だが、小道具としてのシトロエンなども彼所有のコレクションであったような…それはまた別の作品の事だったかもしれない。