こんな唄に出くわした[32]   矢車の花

   矢車の花

      作詞:小谷 夏
      作曲:中村泰士
      唄:北原ミレイ

  後姿の女の背中に 細い径がある
  径をたどれば女の胸には
  涙の谷がある
  忘れてくれなんて
  言うから忘れない
  矢車の矢車の花を一輪
  もう一度夢ひとつ咲かせてみたい

  恋をなくした女のほほには
  白い河がある
  河を下れば女の瞳に
  涙の海がある
  愛しすぎたことに
  どんな罪があるの
  矢車の矢車の花は乱れて
  実らない恋ひとつしおれて消えた

  想い出さがす女の心に 暗い坂がある
  坂をのぼれば女の住む町
  涙の町がある
  あなたが帰るまで
  心に灯をともし
  矢車の矢車の花を一輪
  諦めたこの胸に飾って待つわ

 同じ唄を小林幸子も歌っていて、こちらは『矢車日記』というタイトルで、〝立派な〟歌謡曲であるのに対して、北原ミレイのものとなると、より裏のうらがありそうで、いずれも沁みるが、くり返し聴き込んでも飽きることなく、つまり沁みこみ方(?)が随分違うのである。